千秋楽の相撲を、最後の方なんだけれど何とか見ることが。
やはり、横綱2人がいない状態で、しかも本調子の大関がいなければ、場所が混戦になる事は概ねわかっていたこと。
問題は上位力士がまともじゃない中で、どれだけ場所そのものが盛り上がるかどうか。
しかし結果は、ある程度予想できたとは言え、なかなか見所のある内容に。
目次
優勝 御嶽海
御嶽海と貴景勝の 2人は両方とも本割ではきちんと白星を上げて12勝3敗で並ぶ。
本割での2人の相撲は、間違いなく圧倒的な強さを見せつけた。
貴景勝は相星で並んでいた隠岐の海を、一方的に押し出す力強い相撲。
また、御嶽海も曲者 遠藤を寄せ付けなかった。
この相撲を見る限りは両者ともに甲乙つけがたい 。
しかし支度をして臨んだ優勝決定戦。
この相撲において決定的な差が生じたのである。
立ち会いは5分と5分。
2人とも頭で激しくぶつかり合う凄まじいもの。
しかし、ここからが明暗が分かれたのである。
迷うことなく全力で押し出していこうとする御嶽海に対し、一瞬だが引き技の出た貴景勝。
これで勝負あった。
押し相撲の力士が絶対にやってはいけないことが不意に出す引き技。
攻撃を激しく繰り出した後で出す引き技はとても効果的だが、流れで、癖で 出してしまう引き技は、簡単に墓穴を掘ってしまう。
貴景勝は悔やんでも悔やみ切れない悪い癖で、大事な1番を落としてしまった。
実はこの相撲には布線があったと言える。
貴景勝と御嶽海は今場所、本割で対戦したときに貴景勝が一方的に押し切る形で勝っているのだ。
このときの屈辱を御嶽海は忘れていなかった。
“次は絶対に引かない。”
“前へ押し通す。”
2人の優勝決定戦の相撲はこの辺の決意の差かもしれない。
今1歩及ばなかった貴景勝
本割での貴景勝の相撲は申し分のないもの。
彼本来の突き押し相撲の良いところが全て出ていたと言える。
この相撲を優勝決定戦で再現することができなかったことがとても悔やまれる。
しかし彼は今場所関脇で10勝以上を上げている。
これで来場所は大関復帰。
当初の目的を達成できた。
優勝できなかった事はおそらく大変な屈辱として心に残るに違いない。
来場所以降の敵討ちに期待をする。
来場所以降に期待するもの
御嶽海は、どうやら来場所合わせた3場所の成績が33番以上勝てれば 、大関の声がかかる。
とにかく関脇を歴代1位に並ぶくらい長く続けているのだ。
そろそろ大関に昇進しても全くおかしくは無い。
とりわけ今場所の相撲で現在の大関栃ノ心が再び関脇に陥落する。
貴景勝が入れ替わりで大関に復帰するが、もう以前から言われているように世代交代がなされなければ、安心して上位力士が戦える環境が用意されない。
横綱2人は、残念ながらそう多くの事は望めまい。
年齢的にもそろそろ限界が来ているし、何よりも全盛期の横綱の相撲を全く再現できていないから。
私の見立てでは遠くない将来、2人とも引退するはず。
横綱としては、ほぼ限界に達していると思う。
さて今場所の見所として、炎鵬、石浦といった小兵力士が活躍した。
相撲は小良く大を制す
このことを地で行く力士が出てきた事は大変うれしい限り。
来場所以降も2人の活躍を大いに期待したいもの。
しかしながら、今場所、2横綱がいない状態でよくここまで場所を引っ張って来れたと思う。
来場所は、納めの九州場所。
ぜひとも全員の力士が勢ぞろいで良い内容を務めあげて欲しい。