先週のエピソードで卒倒して落馬してしまった源頼朝。
これで亡くなってしまったのだと思ったが、物語的には何日間か意識不明のまま存命な状態として描かれた。
脚本家のインタビューでも、落馬する前に脳溢血か何かで気を失ったことに設定したと語っていたね。
確かに、説得力はあるかもしれない。
落馬の様子を振り返ってみても、まず右手の自由がきかなくなっていた。
その後鈴の音が聞こえてきて、空が傾いていく。
気を失った状態で落馬。
御所に戻された頼朝は政子をはじめ、側近の者たちの懸命の看護を受けていたが、ついに力尽きて命を終えることになる。
この時代の大きな特徴だが、鎌倉幕府の内情は、皆疑心暗鬼で駆け引きと欺瞞詭弁で成り立っていた。
物語の中では、自分の勢力を伸ばすことに必死になる者たち。
後継者が誰になるのかで争いが発生。
しかし、北条義時だけは、自分の果たすべき役割をしっかりと意識できていたような。
鎌倉幕府の後継をきちんと決めて、後の世に憂いのないように万端整えて幕府を去ろうとする。
しかし、鎌倉殿の後家となった政子は義時が幕府を去ることを決して許しはしなかった。
様々な駆け引きの末、鎌倉幕府2代目頭領は頼朝の長男頼家に決まる。
一筋縄で片付けられるような話でなかったことが物語として明らかに。
目次
源頼朝危篤
意識不明な頼朝の様子が描かれていた。
周りのものにしてみれば助かって欲しいので、出来る限り良い兆候を見つけようと。
汗をかいたり、頬に赤みがさすなど、あらゆるものを回復の兆しととらえたい。
しかし、懸命の看護もむなしく、物語を見ていてわかるのは、一切の飲食物を受け付けていない。
現在のように点滴があるわけではないので、意識のないものを介抱するには明らかに不足。
源頼朝が死に至るまでの様子が脚本家の巧みな演出で描かれていた。
政子が準備した木の実を珍しそうに手に取って見る頼朝。
この時だけは目が覚めたように描かれてはいたけど。
実際は夢だったのかもしれないが、目を覚まして床を立ってその後、こと切れたようだ描かれ方。
うつろな目で亡くなる表情が描かれていた。
この時代の物語を描くには、わかりやすい演出だったかも。
後継争い
物語の中で描かれたのは、源頼朝が長くは生きられないことをそれぞれが悟ってしまうこと。
当然のことながら次に誰が鎌倉殿になるのか後継者争いが。
比企の台頭を嫌う北条家は頼朝の弟全成を後継者に仕立てようとする。
それに対して頼朝の遺言でもあり、育ての親の比企家は頼朝の長男頼家を立てようとする。
要するに、幕府のことを考えられない人たちの、自己顕示欲でしかないわけで。
本来は源頼朝が危篤であることを絶対秘密にすべきとふれを出していたにもかかわらず、情報は簡単に漏れてしまう。
みんなここだけの話として次々と秘密を暴露。
北条義時は鎌倉幕府を支えるためにどのような勢力配置が一番望ましいのか必死で画策していた。
さらには、源頼朝の遺言もある。
息子をに2代目と語っていたはず。
意外なことだが、本人の意向は死にかけている時は案外ストレートに反映されるわけではないんだね。
頼家と全成
頼家は比企の娘との間に長男を設けていた。
ただ、種明かしになるけど頼家は源氏の嫡流から正室を迎えるつもりでいる。
この辺のところがまだ内々の話で表立ったことにはなっていない。
対する全成は北条にとってどうしても推挙したい人材。
源頼朝の弟であると同時に、妻実衣は北条の娘。
力関係から見たときに彼が鎌倉殿になってくれれば、北条の繁栄が約束されたようなもの。
北条時政は妻りくにそそのかされて盛んに自分の家系の安泰を図ろうとする。
この時、頼家と全成は周りの勢力争いに巻き込まれた。
流れ的には、頼家が頼朝の後を継ぐことになる。
頼朝死す
物語を見ていて、驚くほど手回しがいいなと。
必死で頼朝の看病をしている傍らで、亡くなったことを想定した準備がなされていた。
生前出家と言って生きたまま、出家して僧籍を得ておく。
この時代は、怨霊も神仏も全て実在。
死んだ後、間違いなく極楽浄土に行くためにはそれなりの準備が必要とされた。
現代の感覚で言うなら、源頼朝は多くの人の恨みを買っている。
何をどう画策したところで、彼が極楽にいけるとは到底思えないけどな。
準備は着々と進み、頼朝を火葬したあと遺骨を運ぶのは安達盛長。
頼朝が死ぬと同時に、次の段取りを決めなければならない。
北条対比企
北条と比企は自分たちの勢力争いこそがすべてのような。
歴史的に見たときに比企はこの後すぐ北条によって滅ぼされる。
北条時政はこの後、鎌倉幕府の初代執権として就任。
そして、一般的には悪女として名高い北条政子は頼朝の後家として大きく力を振るうことになる。
この物語では多分、悪女としては描かれないはず。
歴史的な考察から見ても最近は悪女とは認定されていない。
そして、男尊女卑の時代のような描かれ方をするが、実際は女性であってもかなりの影響力を持ち合わせていた。
これ以降の時代で、どうしても記録が少なくなるような傾向があったので、正しく伝わっていない部分があるのかも。
政子と義時
主人公北条義時はほとんど彼だけが自分の欲得を離れて幕府のために尽力していた。
すべての役目を終えた後、鎌倉を離れると宣言。
彼を止めたのが政子。
頼朝の髪の毛の元結の中に隠されていた小さな観音像。
それを握らせて、私を支えろと懇願。
この物語の描かれ方だけど、この後の鎌倉幕府は政子と義時によって運営されることになる。
彼の優れた洞察力もさらりと描かれていた。
源頼朝の死には様々な噂が立っていたが、それに明確な回答が。
頼朝が気を失って落馬したことを見抜いていた。
馬から振り落とされたわけではない。
彼は鎌倉幕府3代目執権としてこの後御成敗式目を制定する。
歴史的には北条義時よりも有名だろうと推察。
物語は本格的に興味深く描かれ始める。