最終週2日目。
残り少ない物語が熱意を込めて語ったのは、かつての沖縄戦のエピソード。
フォンターナのオーナー房子は優子宛てに1人の老人を引き合わせたいと言う。
実はその老人大里五郎を演じているのはほかならぬ草刈正雄。
物語で、極めて重要な役どころを演じる。
そして物語の流れから見て、おそらく今日1日だけの登場になるのではと推察。
また、草刈正雄の娘「草刈麻有」も物語上の娘の役どころで共演していた。
ちむどんどんは沖縄本土復帰50年を記念して作られたと最初から語られていたが、やはり最後に採用したエピソードはあの沖縄戦の耐え難い記憶。
なぜ突然このようなエピソードが物語の終盤に登場してきたのかはわからないが、この物語が沖縄を描いていることに重大な意味があるものと。
沖縄は太平洋戦争最後の地上戦が展開された場所。
当時の沖縄島民の3分の1は亡くなったと聞いた。
そして、逃げ惑う島民は逃亡途中で命を落とすものも少なくなかったのだ。
物語に登場する優子は沖縄戦の厳しい中を命を長らえることができた1人。
今日は、優子のトラウマとも言うべき過去の記憶と、その記憶を裏付けるような物語が描かれる。
戦争の経験はいくつも語り継がれるが、広島、長崎と並んで沖縄地上戦も決して忘れてはならないのだと。
目次
大里五郎の贖罪
戦時中、沖縄で逃亡の真っ最中だった大里五郎。
逃亡先で与那城時恵に出会ったんだそうだ。
その時、重傷を負っていて、見た感じ助かりそうではなかったと。
その時、彼女は大里氏に対しておにぎりをくれたんだそうな。
自分はもう食べることができない。
その後、彼女は元気がなくなり喉が渇いたから水が飲みたいと訴えたんだそうな。
わずかながら水は持ってはいたが、この先の自分のことを考えると、その水を分け与えることができなかった。
食べ物を分けてもらいながら水を差し上げることを拒否してしまった。
実はそのことが戦後数十年経った今も心の中で限りなく自責の念で迫ってくる。
俳優草刈正雄がこの時の演技のためだけに起用されたんだと思うと感慨深いものが。
そして、亡くなる直前の時恵から妹の与那城優子に形見として渡してほしいとジーファーを預かる。
そして、妹と弟にどうか伝えてほしいと。
戦時中の記憶は簡単に消し去ることはできない。
ちなみに娘役の麻有さんは足の悪い父の付き添いと言う設定だった。
優子と姉時恵
戦前の沖縄で食堂を経営していた優子の実家。
姉の時恵は沖縄舞踊の名手だったとの設定。
妹の優子も姉から手ほどきを受けて舞うことができる。
今週の注目アイテムとして紹介されたジーファーは沖縄のかんざし
時恵はなくなる時に、妹宛に遺言を。
弟秀夫とともに、しっかり生きろ!
沖縄戦では家族バラバラになった沖縄島民の大多数が同じことを考えていたのかも。
未来へ語り継ぐべき物語
かつて過去に、これだけの歴史があったと言う事実を語り継ぐ責任が今生きている世代にはある。
それは沖縄だけではなく、何度も言うが広島 長崎、そして東京大阪など空襲を受けた大都市では例外なく事実として伝わる。
いまだによく聞くのは東京や大阪など、工事のために地面を掘れば必ず人骨が出てくると言われる。
一晩で何万人以上の人が亡くなってしまうのだ。
火葬や埋葬なども追いつかないことがよくわかる。
その中でも沖縄は、島の内に逃げ回っていた島民たちが洞窟の中や道端の草むらの中で息絶えた。
遺体も遺骨も見つからない場合が多数存在したとも聞いた。
いまだに遺骨収集の発掘作業が行われている。
縁のあるものたちにしてみれば、放っておけないどころか、気が気じゃないだろう。
歌子の民謡を伴奏に踊る優子の様子は、15分の物語の中でも数分かけて描かれた。
仲間由紀恵は舞台でも沖縄舞踊を披露するほどの腕前。
踊りは見事に決まっていたと思う。
憂いを秘めた表情も、バックに流れた上白石萌歌のボーカルも申し分ないと感じた。
沖縄の戦争体験と、後世に伝えるべき伝統文化。
今日はそういったアイテムを前面に打ち出した物語設定になっていたと思う。
今現在の日本人は、ともすれば過去の事など記憶から薄れ、残らない人たちも多い。
しかし、過去の歴史をしっかりと認識し、後世に伝える責任は世代関係なくいつまでも課せられた務めだろうと考える。
かく言う私でさえ、戦後の生まれなのだ。
戦争中の様々な出来事は両親や、親戚の叔父叔母から聞いた内容以上のものはない。
それでも、彼らがどれほどのくらいの地獄をかいくぐってきたかはひしひしと伝わってきた。
それを、変に脚色することなくありのままを伝えていきたいと考える。
オーナー房子と沖縄
子供の頃房子は沖縄は世界で1番美しい島だときかされて育った。
自分の生い立ちや過去の経験したことを考えると、運命を呪ったこともあると述懐。
しかし、彼女自身も間違いなく沖縄のウチナンチュ。
優子とともに沖縄の歴史の語り部となるのかもしれない。