先週最後のエピソードで娘園子を失った万太郎と寿恵子。
およそ生きているときに、家族を失う苦しみは筆舌に尽くしがたい。
それが自分より年端もいかぬ子供となれば、経験したものでなければ、到底理解できないだろう。
寿恵子も万太郎も園子の死は自分のせいだと、それぞれ己を責める日々が続いた。
簡単に癒される苦しみではない事は誰の目にも明らかだが、若い夫婦の周りの人たちは気遣いして支えようとしてくれる。
寿恵子は床に伏せったまま起きて来ようとはしなかった。
そして、自分を責めるあまり亡くなった園子の夜泣きを聞いてしまったような気が。
心が壊れていくと様々なありえないようなことが起こってくる。
2人が立ち直るためには、倉木が言うように時薬が必要だと語るのも大いに納得できる。
時薬は日薬と言う場合もあるだろう。
時間が立たなければ傷が言える事は無い。
そんな中、なんとかしなければと思った万太郎は寿恵子に約束をするように。
自分たちが園子に会いに行く時は喜んでもらえるような植物図鑑を一緒に持っていこうと。
洞舐めながら、提案にうなずく寿恵子。
2人が心の痛手を乗り越えてまた生きていこうとするきっかけが今日描かれた。
目次
万太郎と寿恵子
我が子を麻疹で失ってしまった若夫婦。
どんなに気持ちを強く持ったところで、とても元気なんか出るはずもなく。
寿恵子は毎日布団の中でめそめそするばかりで、起き上がってくることも少なくなった。
何よりも彼女は妊娠7ヶ月かそこら。
身重の体では、自由に動けるはずもなく。
夫婦の会話の中で出てくる事は、園子が死んでしまったのは、自分のせいだと思い込んでしまうこと。
寿恵子は月足らずで産んでしまったせいで園子が死んでしまったと激しく自分を責める。
そして万太郎は自分が植物採集で家を留守にしたせいだと。
物語を見ているものにすれば、そのどちらも理由にはならない。
園子ちゃんは幼くして天に帰っていく運命だったと思うしかない。
こんな時、夫婦だけだったならとてもじゃないが、立ち直るのにどれだけの時間がかかるんだろうか。
運命だとしても、幼い子供が両親の目の前で死んでいく姿を見せなければならないのは、あまりにも残酷な仕打ちだと思う。
十徳長屋の仲間たち
この時代、幼い子供がなくなる事は多々あったんだろうと推察。
それぞれ皆、自分のことでは無いにしても経験している可能性が。
それぞれ万太郎と寿恵子に心遣いを向けてくれる。
倉木は寿恵子のために卵をくれた。
今と違って、卵や魚、肉等は高級品。
体に滋養をつけるとなれば、この辺の食べ物に真っ先に白羽の矢が。
寿恵子はお腹に子供がいるわけで、食べなければとてもこの先乗り切れるものではない。
周りの人たちは、そういったことが手に取るようによくわかるんだろうね。
どうすれば、早く元の生活に戻れるのかをよく知っているような。
まつの励まし
まつさんが寿恵子のところにやってきてくれたのは天の助けだったかも。
もし、万太郎と寿恵子だけだったらどんなことが想像できるだろうか。
こちらの長屋に住んでいることで、周りの人たちはみんな家族のように優しくサポートしてくれる。
それでも多少なりとも遠慮があるのはやむを得ないこと。
やっぱり身内のまつの存在はとてつもなく大きかっただろう。
娘を大切に思うと同時に、万太郎にも同じように接してくれていた。
今日の物語の最後の方で、万太郎はまつから軽焼きの作り方を教わっていた。
ほんのわずかに安心したシーン。
そうでなければ寿恵子はこのまま寝込んだ状態で子供を出産することにもなりかねない。
園子ちゃんを亡くした悲しみは到底拭い切れるものではないが、もうすぐに次の子供が生まれてくるのだ。
この夫婦にはゆっくりと骨休めする時間は与えられない。
家庭の事情もよく知った上でまつは万太郎と寿恵子のサポートを。
夫婦の誓い
子供を失った衝撃は、計り知れない。
夫婦2人とも自分のせいで娘を死なせたと悲しい勘違い。
寿恵子は自分のお腹を痛めて産んだ子供が目の前から消えていなくなってしまった。
しかし、夫婦2人で強く感じたのは、自分たちもやがては、娘の元へ旅立つ時が来る。
その時に娘に喜んでもらえるような素晴らしい植物図鑑を携えたい。
今日のエピソードはそこまでで終了。
週間が始まったばかりだが、この若夫婦がどこできちんと立ち直ることができるのか、そしてロシア行の話はこの先どうなるのか?
先週からの宿題で気になることばかりが目白押し。