物語の奥深い作りにひたすら圧倒される。
今日舞台になるのは学校帰りの優未の様子に注目する寅子。
寅子の胸の中では昨日、新潟で話を聞くことになった玉の心。
そして、次の日曜日新潟を訪ねた寅子は玉と涼子2人にそれぞれ本音で語り合うことを促す。
ここからが今日の1番の見所。
自分がかつての主人を縛り付けていると後悔にさいなまれている玉。
それはセリフの中にも現れていた。
私がいるせいでお嬢様は自由になれない
しかし、肝心の涼子の捉え方は違っていた。
虎に翼ではしばらく間が開いて登場したこの2人。
おそらく満を持して脚本家が演出したんだろうと思う。
涼子は櫻川家の後継として家を存続させる責任があったような。
そのことを踏まえて婿を迎えたこともわかっている。
婿 胤頼との離婚を経験していた涼子。
玉は離婚原因が自分だと錯覚していたが、涼子の本心はまるで違っていた。
戦後華族制度は廃止されることが決まって、櫻川家は資産整理が求められることになった。
今まで所有していたものは全て清算する必要が。
戦前のような豊かな暮らしはとても望むべくもない。
涼子は夫胤頼を解放してあげたと語っていたね。
さらに玉を本当はもっと早い時期に自由にすべきだったとも語っていた。
玉の身の上に起きたこと全てが涼子の判断で起こってしまったこと。
さらには玉も涼子もお互い心が通い合っていることを確認。
2人は改めて親友としてこれからも過ごすことに。
明日来週の予告編も含めて1週間の締めくくりとなる。
今日のエピソードでなんとなく安心材料が見えてきたような。
目次
優未の胸のうち
優未の学校帰り。
両隣の友達たちは、優未があまりに話さないことにさすがに辛抱たまらず聞き直すことに。
なぜ黙っているの?
そして会話の中で学校の先生に頼まれて優未の友達になってやるように仕向けられたと。
その言葉を聞いた優未の返し。
無理に友達になってもらわなくてもいいよ。
私は別に寂しくないから仲良くしてくれてありがとう。
とても9歳10歳の子供とは思えないような大人びた優未。
後ろで聞いていた寅子も思わず絶句。
自分の娘がどれほど他人の気持ちを推し量ることができているのか改めて思い知らされる。
それは家に帰ってからも。
沈黙の後、意を決して優未を笑わせようと変顔をする寅子。
同じように変顔で返す優未。
優未が自分以外の人にどれだけ気配り目配りができていて、思いやりのある子供なのか改めて納得せざるを得ない寅子。
自分の娘ながら頼もしく切なくもあり。
おそらくもう少しの間、竹澤咲子の名演技が見られるに違いない。
日曜日のライトハウス
優未に留守番を頼んで訪れた日曜日のライトハウス。
寅子は玉の告白を受けて、どうしても2人に話さなければと考えたようだ。
寅子は2人の関係について自分が意見できることなどないと考えたようだ。
玉はかつて涼子のお付き。
弁当の蓋開けに至るまで玉が海外し身の回りの世話を焼いていた。
2人の関係は寅子から見ても、他人の口出しを許すような要素はなさそう。
玉から受けた相談の答えもあって、寅子は2人に直接話さなければと思ったようだ。
玉と涼子
玉は自分がいなくなることで涼子を自由にできると信じていた。
つまり、こちらの家を出て別な施設で暮らす。
身障者を受け入れてくれて、さらに英語を教える仕事もできるような更生施設を探してほしい。
寅子は八方手を尽くして探したようだが、近くでは見つからなかったようだ。
考えてみれば今住んでいるのは新潟だから地方では難しいかもしれないね。
かろうじて見つかったのは、神奈川県。
そこならばまだいくらかの空きがあるような話だった。
そのことも含めて2人に話したところが寅子の最大の配慮。
涼子は玉の本心を知らずにいたので寅子の話す内容はまさに寝耳に水。
玉の本心を聞くにつけ、自分の本当の気持ちを吐露する涼子。
離婚はあなたのせいではない。
夫とは結局わかり合うことができなかった。
離婚することで、夫を櫻川家から解放してあげた。
玉だけは甘えたままでずっと手元に置いておいた。
本当はもっと早くに自由にしてあげるべきだったところを、今までずっとそばに置いてしまってきた。
玉が思いもよらない答え。
涼子にとって玉の存在は特別。
どうしても自分のそばにいて欲しい。
玉がいたおかげで自分がいることを正直に告白。
泣き崩れてお互い抱き合う2人。
親友対親友
多分今日の物語の中で一番感動したシーンかもしれない。
本音と本音で語り合った2人の胸の内。
お互い相手のことを大切に、自分が何をしてあげられるかをいつも考えている。
普通、親子は親が子供を第一に考えて常に手を差し伸べてくれる存在だが子供は意外とそのことを当たり前に受け止めることが多いのでは。
しかし、親友ともなればお互いの心と心の触れ合いが中心になる。
涼子と玉は親友かそれ以上かもしれない存在。
2人の心がしっかりと確認できた素晴らしい時間だったと思う。
物語のこれからの流れが象徴されるような素晴らしいシーンだった。