巷では氷上の花ともてはやされ、注目の集まる女子フィギアスケート。
かく言う私も、最初の札幌オリンピックのアメリカ代表ジャネットリン選手を見てからすっかりファンになった経緯がある。
もう半世紀も前になる話。
さて、今回ロシアの代表選手(ロシアはドーピング疑惑で国家としての参加は認められていない)として、カミラワリエワ選手がダントツの優勝候補として注目を浴びながらなんとドーピングで摘発と言う信じられないようなスキャンダルが発覚。
さらには、その対応をめぐってドーピングに関与した選手が競技に出場できないかと思いきや、出場が可能とのことで、その裁定にも驚きを隠しきれなかった。
ここ何日間かの話なので、ネットではその話題は持ちきりで、さらにはテレビなどで専門家やドクターや、またテレビ局の取材スタッフ等の話も総合すると、何かとんでもないことが起きているような危機感があると感じたので記事としてまとめることに。
目次
カミラワリエワ
彼女は今年の誕生日で16歳。
今はまだ15歳で、普通でいうたならまったくの子供。
しかしロシアと言うお国柄では、スポーツに特化した特別な機関がいくつも存在して、彼女はフィギュアスケートの選手として類まれなる才能の持ち主で機関に参加。
もともと持ち合わせた才能と、
俗名“虎の穴”(サンボ70が正式名)と呼ばれる訓練所で一流選手に育てあげられた。
彼女のような選手が多数存在していて、今回のオリンピックでは彼女がエースとして登場していたが、4年前の平昌オリンピックではアリーナザギトワが代表として登場していたのは誰もが知る事実。
今回のオリンピックは彼女とは別にトルソワ、シェルバコワの両名も同じ代表として登場。
ワリエワが登場しなければ、先の2人がエースとして登場する流れだったろう。
しかし、びっくりするのはロシアの選手層の厚さ。
次から次へと12 3歳位から15 6歳位の有力な選手が登場してくる。
皆、オリンピック出場の一流選手を目指して夢と希望を持ってやってくるらしいのだ。
ロシアというお国柄
様々な人たちの話を聞くと、ロシアでは街の薬局でごく普通にドーピング禁止薬が購入できるらしい。
今回ワリエワ選手が引っかかったのは心臓の血管を拡張するための薬と、後の2種類はいわゆるビタミン剤。
コエンザイムなどは筋肉の疲労を軽減するためのサプリメントとして結構有名だと思う。
つまり血管を拡張しつつ、疲労がなくなるように仕向ければそれだけパフォーマンスは向上すると言う発想なんだろう。
この国ではドーピングを悪とは考えていないようだ。
大きな大会で結果を残すことができれば勝ち。
見つかったらご不幸さんで済まされる。
スポーツマン精神とか、10代の年端もいかない世代の子が薬物を体内に長期間摂取していれば、必ず悪影響が心配されるが、そういった事は全く気にしていない様子。
トレーニングが終わったら、“はいこの薬を飲んで!”で済まされるんだろう。
今回表舞台に登場したドーピング問題だが昔から陸上競技など、当たり前のように行われてきていて、当たり前のように摘発されていた。
その結果、ロシアは国ぐるみでドーピングを行っていると断定されるに至る。
国家としてはオリンピックに参加できなくなっている。
しかし、有力な選手たちがいっぱいいて、競技にも花を咲かせるだろうから個人資格で参加できるとの決まり。
それがROCの別名をまとったロシアの姿。
何をどんな風に説明してもロシアが国ぐるみで関与をしている事は絶対間違いないはず。
ドーピング問題の裏側
今回、ワリエワ選手が競技に集中力を欠いて散々な結果でKiss & Cryに戻ってきたとき、そばにいたあの有名なコーチたちは戻ってきた選手をねぎらうのではなく、激しく罵ったと聞いた。
その様子は全世界に配信されたようだ。
テレビのワイドショーなどでもその様子が盛んに取り上げられていた。
激しい重圧と耐え難いストレス。
その中で必死にリンクの上に立ち続けた選手に対して、ねぎらいの言葉の一言もなく罵倒されるのでは、ワイドショーで語られていた人を人とも思わない冷酷無比な様子が見てとれる。
どうやら彼女を中心としたコーチ陣も今回の1連の事件について取り調べを受けるらしい。
しかし、この写真を見てわかるとおり、ロシアは国の上層部からドーピングを推奨しているように見える。
ロシア国内でどんなふうに調査をしてみたところで真実が明らかになるとは思えない。
考え方が私たちとはまるで違うようだ。
『オリンピックは政治の道具だ』と私は公言してはばからないが、この国の場合それがよりあからさまに表現されていると思う。
素人から見たフィギアスケート女子
スポーツ選手はどんな競技でもたいていは皆ストイックに暮らしている。
その中でもとりわけ自分自身と厳しく向き合っているのがフィギュアスケートの選手たち。
フィギュアスケートの命は、今の競技ルールだとジャンプが命。
いかに高度なジャンプをよりたくさん飛べるかで値打ちが決まるのが実情。
彼女たちの姿かたちを見てもわかる通り、フィギアスケートの選手に太っている子はいない。
スレンダーである事は絶対の条件なのかも。
体重が500グラム増えただけでジャンプは飛べなくなるらしい。
前回オリンピックの金メダリストアリーナザギトワは体重が200グラム増えた段階でその日の飲食は一切禁止すると聞いた。
体重が増える事はすなわち罪であると彼女たちは考えているようだ。
今回トルソワ選手はもう二度とリンクの上には立たないと感情を爆発させたそうな。
要するに、自分自身の結果に納得できなくて、引退をほのめかしたらしいのだが。
ロシアのこのチームは選手たちを競い合わせることで成り立っているようだが、人間関係はかなり尖っているようにも見える。
もともとマイナーなスポーツなので、その美しさとは裏腹に厳しい節制が求められるのはよくわかる。
ギリギリで作り上げられた世界だからこそ、素人である私などは愛でているのかも。
まとめ
この競技で結果を残すのはある意味奇跡に近いかもしれない。
優勝したシェルバコワは早くから世界チャンピオンとしても活躍していて、安定した実力を発揮し続けてきた。
4回転ジャンプを男子並みにこなす数少ない選手の1人。
さらには日本の坂本は大技と呼べるものはほぼないのだが、一つ一つの技の正確さと美しさで銅メダルを獲得。
自分の持てるポテンシャルを全て余すことなく発揮できたところに彼女の勝因がある。
この競技が要求する努力は2つあると考える
1つは挑戦し続けること。
もう一つは必死に耐え続けること。
この2つの事柄をきちんと成し遂げられたときに運がよければ結果がついてくるんだろうと考える。
しかし、それにしても今回ドーピング疑惑で摘発されたワリエワ選手の涙を見たときに気の毒だと感じた人は大勢いたはず。