10週目の最後のエピソードとなった今日の物語。
いよいよ父梅吉との別れが描かれる。
昨日の放送で描かれた福来スズ子と茨田りつ子のコンサートは満員盛況で大成功だった。
今日はその続きが描かれると同時に来週の予告編もチラリ。
スズ子の歌唱の底力は梅吉の凍りついていた心を溶かした。
六郎の歌を聞いて涙が止まらなかったことを白状する梅吉。
スズ子と梅吉だけの花田家はここで初めて親子の絆を確認することができた。
もちろん我々は彼らが本当の親子でない事は先刻承知。
スズ子も梅吉もいつもの伝蔵の屋台で本音で語り合う。
ワシはダメな父親のままではあかん。
そして四国に帰ることを改めて宣言する。
ワテは寂しい😭
スズ子も本音が漏れる。
しかし、2人はお互いの進む道をきちんと受け入れることができて、それぞれを応援することもできる。
それは親子だから。
物語の1連の流れは驚くほどの説得力を持つ。
物語の人間ではないもう一つの大事なキャラクター亀もしっかり登場。
スズ子は今後のステージ活動をするのについに東京を離れざるを得ないことを覚悟する。
やはり戦争が始まる頃の日本国内は、驚くほど締め付けが厳しくなっていた。
スズ子もりつ子も東京近郊では歌う機会は失われていた。
物語の最後で描かれたのはスズ子に訪れた秋田からの公演依頼。
もう、依頼を選べる状況でない事は明らか。
赤字を覚悟で秋田行きを決断する楽団員達。
さらには羽鳥善一から送られた選別はちょっと変わった新曲。
アイレ可愛や
服部良一作曲の著名な曲で、これからのスズ子の代表曲になる。
目次
東京公演の余韻
昨日の放送でもあったように東京公演は大成功だった。
これはスズ子やりつ子の知名度もさることながら、公演を企画した羽鳥善一の力に負うところが大きい。
人気も上々で観客たちの誰もが満足して帰ったと聞く。
しかし、実際問題としてそのあとスズ子たちへの公演依頼はぱったりと途絶えてしまう。
やはり、ご時世に合わないと言われてしまえばそれまでのこと。
歌の内容はともかく心に響くかどうかで問われればりつ子の歌声は、間違いなく人々の心を揺さぶった。
りつ子自身も聞く側に届く歌声を心がけているので望むところだっただろう。
スズ子の大空の弟は今回このドラマで初めて音が披露されたのでは。
今まで音源となる資料が残されていなかった。
4年ほど前に服部良一の自宅で資料を整理している最中偶然見つかったと聞いている。
作曲家が自ら作詞も手がけているので、今回のドラマに合わせて詩の内容を少し編集したとも聞いている。
歌唱は笠置シズ子を彷仏とさせるかのような趣里の渾身のパフォーマンス。
放送後のネットでは、彼女の歌声を絶賛する投稿が相次いだ。
しかし、その後に続くものはどうやらなかったようだ。
梅吉の覚悟
当初梅吉は六郎の死を決して認めようとはしなかった。
しかし、スズ子の歌声を聞いて自分の気持ちをごまかすことができなくなったと語っていたね。
心のどこかでは息子が死んだことを薄々受け入れ始めていたようだ。
そしてスズ子の歌唱は梅吉の硬くな心を解きほぐすことに。
やっぱり六郎の戦死は辛く厳しく重い。
突然紙切れ1枚で告げられるんだから納得できない気持ちはごく当然のこと。
今回スズ子たちのコンサートを聞いたことで、自分のモヤモヤしていた気持ちにもはっきりと区切りをつけることができた。
親子の絆
スズ子も梅吉も本当の親子でない事は承知しているものと思われる。
しかし、親子であることを決定する様々な事柄の中に血のつながりがどれだけのウェイトを占めるだろうか。
それが全てだと日本の中世では信じられてきた。
しかし遥か昔、インドのお釈迦様はすべては縁によって決まるのだと。
どんなに貧しく卑近な生まれであっても育てる環境が素晴らしく整っていたなら、それは大変立派な大人に成長する。
環境(育つ条件)によって導かれるのであって、生まれそのものはその人の人となりを決める条件のひとつに過ぎない。
血のつながりも然り。
親子を決める1つの条件にはなるが全てではない。
2人のやりとりはそんな親子の情愛が丁寧に描かれていた素晴らしいシーンだったと思う。
新しい道
梅吉は六郎の忘れ形見2匹の亀を連れて高知へ帰ることになった。
今までのまま東京にいたならスズ子に甘えてしまう。
それでは死んでしまったツヤや六郎に申し訳ない。
だめな自分を吹っ切るためにどうしても必要なことだったのだろう。
そして、物語の最後で描かれたがスズ子たちには秋田で公演依頼が舞い込んだ。
汚い言葉で言えばドサ回りってことだよね。
しかし、状況を考えれば選べるような身分ではない彼ら。
ステージで演奏して歌ってなんぼの世界。
そんな中、来週はいよいよ恋バナも登場しそうな雰囲気。
史実の通りに描かれると思うので、スズ子にとっては生涯で最も喜ばしいことと、最も辛い運命が同時にやってくることになる。