毎回注目している麒麟がくるだが、今日の放送を見てもまだ明智光秀は織田信長の家臣とはなりえていない。
この先のストーリーをどのように組み立てていくのかと心配するネットの意見も多い中、今日も含めたそれぞれの回のストーリーは重厚に丁寧に作られていて、役者たちの演技も熱が入っている。
いよいよ将軍足利義昭の二条城が完成するに至るまでが描かれる。
しかし、その実情は織田信長の横暴さがなせる技だった。
目次
幕府内部は不正が横行
様々なインタビュー記事を見ると片岡鶴太郎はこの摂津春門の役柄を大いに気にいっていると。
何よりも旧幕府の悪しき伝統をそのまま体現しているような策士。
彼の朝ドラ歴はかなり長い。
日曜日の朝6時からの再放送太平記でも北条高時の屈折した役柄を巧みに演じきっていた。
ずいぶん昔から個性的なキャラクターとして大河ドラマでは重宝がられる俳優。
今回は室町幕府末期の不正を働き続ける官僚をいやらしさたっぷりに演じている。
あたかも周りから憎まれることを喜びとするかのように。
しかし、彼のような役者がいるからこそこの物語は大いに盛り上がるのだ。
いかにも邪心の塊のような目つきなど、演じる役者にしてみれば真骨頂かもしれない。
見ていて小気味よささえ感じる。
光秀にも累が及ぶ
光秀は将軍に妻子をこの京都に呼び寄せると告白した。
将軍義昭は摂津春門に命じてそれなりの土地を用意したようだが、実はそれが不正によって搾取したものだと後から知ることになる。
このときの室町幕府は既に体をなしていない。
幕府として機能するためには資金力も何もなく、ひたすら上から目線で搾取賄賂で事業を行うばかりだったのだ。
さらに、様々な政策は一般民衆のためのものではなかった。
自分たちの懐を潤すための賄賂などが最優先。
まともに政治などをしようというつもりはまるでなかったのだ。
将軍のお側衆としての光秀たちも、もはや目をつぶっていられるレベルではなかった。
腐れきった官僚たちと横暴の極みを続ける信長。
どの勢力も決して相入れることなく、自分の都合が最優先させられた時代。
麒麟がくるでは、明智光秀のキャラクターとして、もっとも常識人としての存在を持たせたがっているように見える。
その光秀の盟友とも言える存在が細川藤孝。
この2人はやがて足利将軍家に見切りをつけて織田信長の家臣となる。
将軍家の腐敗はすでに後戻りできるレベルを超えていたのだ。
物語はこの時代の腐敗と、そして地方で盛んに行われる戦などが中心として描かれる。
将軍義昭は能天気に自らの計画を画策
麒麟がくるは登場人物たちのキャラクターを驚くほど丁寧に描こうとしている。
将軍足利義昭は戦や様々な大名の勢力争いにはまるで興味がない。
自分のお膝元としての京都をどれだけ美しく人々が楽しく過ごせるか、そのことのみを考えている。
彼はついこの間まではお坊さんだったのだ。
武士としてのメンタルなど備わっているはずもなく、頭の中にあるのは貧しい人々、生活に困っている者たちにどれだけ施してあげられるか。
そのための施設を作ろうと画策している。
駒をわざわざ呼び寄せたのも、そのような福祉施設の話など自分の側近にはできようはずもないと思っていたから。
自分の話に耳を貸してくれるのは、おそらく彼女ぐらいしかいないのではと思ったに違いない。
完成二条城 新たな登場人物も
いよいよ将軍御所の二条城が完成。
京都中の木材や石や庭木など、よそのお寺や住宅から搾取しまくって作った城。
織田信長の横暴さと腐敗した幕府の官僚達の手腕で強引に作り上げたもの。
ほとんど形だけといっても良い代物。
織田信長はこの完成お披露目の後すぐに岐阜に戻らなければならなかった。
信長は京都で将軍の相手をしている暇などあるはずもない。
自分の領土美濃は朝倉義景が虎視眈々と狙っている状況。
どうやら戦は避けられない状況のようだ。
そのことで頭がいっぱい。
この後は信長は戦いに次ぐ戦いで覇権争いを続けることになる。
今日の最後の方で妹の婿浅井長政が登場していた。
このころはまだ信長と蜜月状態だったが、浅井長政は朝倉義景と手を組んで織田信長に反旗を翻すことになる。
実は信長にとってはこれは大ピンチ。
もちろん、歴史的にはしっかりと逃げ延びることができるのだが、その時に活躍したのが豊臣秀吉と明智光秀。
この2人の働きによって信長は九死に一生を得る。
大きなお世話だとは思うが、この物語は全体を見たときに10話分削られているのだ。
このペースで描いていて果たして本能寺の変にたどり着くのだろうか。
歴史的に見てもこの後重要な事件が目白押しなのだ。
ネットで見ていても実は、様々な心配の意見が多い。
どの意見を覗いてみてももっともな気がして私としても内心心配はしている。
しかしながら、物語を楽しんでいる者の目線とすれば、
ここは製作者や俳優たちの頑張りを見届けてあげるしかないのでは。