残り2週間となった「おかえりモネ」のラスト前の1週間。
今週は物語の中で中心的な役割を果たしていた及川家と永浦家の新たな決意が描かれた。
前半で描かれたのは及川家。
永浦家で新次と亮の話し合いが持たれた。
この過程では大切な家族美波さんが行方不明なまま。
すでに震災から9年が経っているにもかかわらず、何の手続きもしていない状態では先へ進むことにはならなかったのだ。
結論から言って、美波さんが生存している可能性はほぼないと思われた。
そんな中で夫の新次は重大な決断をみんなの前ですることになる。
そして永浦家では耕治がせっかくの銀行での昇進を辞退して退職すると言い出す。
家業を継ぎたいと。
周りがあっけにとられる中、どうやら物語は新しい決断とともに前進することになる。
目次
及川新次の決断
描かれたこのシーンには物語の大切なポリシーが存分に語られていた。
俳優の口からセリフとして出ることもそうだが、この作品の大きな特徴として大切な事はセリフには出てこない。
演技とか周りの状況描写で描かれるのだが。
今回、新次は自分自身の決意を余すことなく語っていたね。
震災で長く立ち直れなかった彼は、どうしても最愛の妻美波さんを忘れられずにいた。
しかし、物語の中で息子が遭難しかけた時に必死に祈った相手が妻。
ふと気がついたんだそうだ。
美波は既に死んでいて向こうの世界にいると自分は知らず知らず納得していた。
そこからの物語展開。
息子が一緒に船に乗って欲しいとの申し入れをきっぱりと断る新次。
元に戻ることだけが人生ではない。
どんなに頑張っても戻らないものもある。
漁師としての俺の人生は震災のあの日で終わったことにしたい。
俳優浅野忠信の全力の演技がネットで大絶賛された。
物語の本質を語るに十分な台本だったと言える。
永浦耕治の決意
最初に耕治が銀行を辞める話を持ちかけたのは妻亜哉子さん。
当然のことながら賛成されるはずもなく。
そして祖父達己さんに話したところが大反対。
しかし、当の本人は何十年かの銀行業務の合間に祖父達己さんの話を聞く機会が多かった。
それは漁師としての達己さんを大絶賛する声。
そして息子は悟ったようだ。
父親のような存在が世の中にはどうしても必要で、この場所(永浦水産)は決してなくすわけにはいかないのだと。
思いがけない説得を試みられた祖父は捨て台詞を残しながらも承諾してしまう。
その後の孫モネとのやり取りで、息子が自分と同じような漁師になれる可能性はほぼないと。
しかし、仕事のやり方なんてものはその人独自のもので良いはず。
あいつのやり方でやればそれで良いのだと。
自分自身の領分をしっかりとわきまえ、その上で相手の立場も尊重する。
一旦自分の手を離れて別な人に委ねたものは委ねられた人が思う存分やりたいようにやれば良いとの考え方は、今の東北大震災を復興させる原動力になっているかもしれない。
大震災の後苦しんできた人たちはそれぞれ自分が進むべき道を見つけて、過去にきちんと区切りをつけて前へに進もうとする。
今週この物語の最も大きなテーマがすべて語り尽くされたかもしれない。
若者たちが受け継ぐ心意気
自分たちの親の世代がどんな振る舞いをするかで子供は学ぶことになる。
祖父と父のやりとりをまざまざと見せつけられたモネと未知。
そのポリシーは、自分のやるべきことをきちんと見つけてしっかり前へ進むこと。
誰かのためにとか自分のためにとか様々な思いいれはあるだろうが、自分がやりたいこと情熱を傾けられることこそがその人にとって1番ふさわしい道なんだと物語は語っている。
そしてその精神は若い世代にもしっかりとうけつがれることになる。
さて、残る物語はモネの恋愛事情。
長く長距離恋愛で離れ離れの2人はゆっくり出会うこともままならない。
2人でどんな解決策を見つけたんだろうか。
と同時に亮とみーちゃん。
どうやらこの2人がカップルになる事は決定事項だが、どんなふうに描かれるのか。
残りの少ない回数で結論を出すためには、方向性を示すレベルで物語は終わってしまいそう。
物語は来週最終章へ
実は、昨日のネットで既に予告編は流れていた。
何度も見返して私はその中でいくつか確認できたことがある。
永浦家で菅波先生が、結婚を前提とした付き合いをすることを両親の前で宣言していたよね。
娘さんをください!とは言っていなかった。
見守っていてください!
そんな言葉だったと記憶。
そしてみーちゃんは亮君からいつか笑えるようにしてやると宣言されていた。
他にも記憶に残るセリフがいっぱいあったけど、モネの最後のセリフ。
私たちは場所も時間も超越した関係。
つまり心が通じ合ってるってことを描きたかったんだろうね。
東北大震災の復興をテーマに描いたこの物語は、世の中の人すべての心が通じ合って前に進むんだとメッセージが込められた気がする。
さてもうあと5回で全て終了する。