「虎に翼」はいよいよ今月いっぱいで終了となる物語。
既に登場人物たちも物語が始まった当初からはかなりの年月が経っており、それぞれなくなった者、健康に不安を抱える者など多数。
物語の設定は昭和34年の春先から昭和35年にかけて。
優未は高校生になったとの設定。
つまり16歳の歳に相当する。
寅子は原爆裁判が長引いたことによって日々仕事に忙殺される。
さらには体調不良にも悩まされていた。
体が火照るとのこと。
また頭痛がしたり体がだるかったり様々な症状が。
既に大抵の人なら気がつくことだが、これは寅子の年齢を考えると更年期障害と思われる。
さらには星家の義母百合さんは本人も気にするほど物忘れがひどくなってきた。
これはいわゆる認知症と言うやつで、短期記憶が特に苦手。
朝言われたことなど数分ないしは数時間経つとすっかり忘れてしまう。
すでにこの時代から認知症に関わる様々な社会問題が紛出してくる傾向に。
そして物語の中心をなすのは原爆裁判。
こちらは原告と被告が真っ向から対立する厳しい裁判となった。
既に予備審議が何年にもわたって続けられ、充分議論が出尽くしたところで正式な公判開始となる。
調べてみると、この当時の総理大臣は岸信介。
後に総理大臣になる佐藤栄作の実兄に相当する。
調べ上げるとキリがないので、物語に集中していくしかない。
何人かの新しいメンバーが加わり、退場者も。
目次
優未が高校生になる頃
物語は昭和34年とあったので、私はちょうど小学校に上がった年になる。
かなり田舎に住んでいたので、舗装した道路は一切なく、砂利道でぬかるみだったり乗り越えられないような凹みがあったり、かなり苦労して通学した記憶が残る。
当時道路が舗装される事はほとんどなかったような気がする。
子供の頃、中学生や高校生はかなりな大人のように感じていた。
たいていの場合、両親は戦前ないしは戦中派の人が多かっただろうと思う。
星家の憂鬱
星家では百合さんの物忘れがかなりひどいことになりつつあった。
すでに兄の朋一は地方で判事補として働いており、のどかは家の中で家事を手伝いながら学校にも通う。
物語で印象的だったのは、寅子が
のどか と呼び捨てにしていたこと。
どうやら母親と娘と言う関係がきちんと出来上がっているような印象を受ける。
さて、この時代認知症と呼ぶ言葉は無い。
認知症という言葉が世の中に出始めるのは、2004年の事。
それ以前は痴呆症で片付けられていた。
また、物語から推察すると百合さんはベーシックなアルツハイマー病が疑われるところだが、そのような発表もこの時代ではまだなかったような気がする。
認知症が社会の中で重要なこととして受け止められるのは21世紀を待たなければならない。
それ以前は医学的には痴呆症、一般的にはボケと片付けられていたように思う。
百合さんはいつからか家族との約束も忘れるように。
百合さんはのどかとの約束も忘れるようになっていた。
その日の予定を朝きちんと報告していたにもかかわらず、夜にはすっかり記憶が消し込んでいる。
そのことを周りから指摘されると、さすがに自分がおかしいのかな?そう思っても仕方がない。
原爆裁判
原爆裁判は原告と被告の国が真っ向から対立する厳しい戦いに。
もし賠償責任を認めてしまったなら、似たようなケースが山ほど出てくるに違いない。
それは何千何百と言う単位ではなく、数十万人にも登ると思われた。
国としては、どうしてもそこだけは譲れなく避けたい。
調べてみると、この当時の日本の総理大臣は岸信介であると判明。
彼は戦前東條英樹内閣で商工大臣として政府に所属。
90歳まで長生きした政治家だったが、何度か死を覚悟したこともあったと述懐。
戦前東條英樹と対峙した時、戦後A級戦犯として巣鴨に収監されたこと。
また暗殺事件にも遭遇している。
彼は東京裁判で厳しい取り調べを受けたが、その後、アメリカCIA要員として日本国内でも再び政治家として暗躍するように。
日本は非核三原則で原爆に関して厳しい取り決めがなされていたが、岸信介主導のもと、それらは有名無実だったと歴史に残る。
日本には核兵器を積んだ潜水艦など好き勝手に出入りしていたと記録にも残る。
岸信介はもともと佐藤姓の生まれだが岸家に養子に入っている。
彼の娘が安倍晋三の母親。
歴史的な背景を考えると、政治が司法に色濃く関与していることが疑われる。
おそらく原告被告ともに政治的な圧力があったんだろうと推察。
物語は、原告の弁護士雲野が突然死する事態に見舞われていた。
弁護士雲野死去
彼が体調不良を訴えつつ、裁判に臨んでいた事はずっと前から語られていたこと。
まさかとは思ったが裁判の最中志半ばで倒れてしまうとはね。
その後を受けたのが轟とよね。
寅子は後半中の裁判と言うこともあって、第三者の公平な立場を演出する必要が。
香典はもちろんのこと葬儀に参加することも控えなければならない状態。
花だけ届けるとなっていた。
今週始まったばかりのエピソード。
それぞれ問題を抱えつつ先へ進む物語。
解決の糸口はいかほど。