描き方に丁寧さを感じる鎌倉殿の13人。
エピソードの中では、北条時政とりくの息子政範が平賀朝雅によって暗殺されたことから、様々な悲劇が生まれる様を描き出す。
物語は、朝廷と結託した平賀朝雅が自らの権威を高めるために、同じ北条の血筋政範を粛清することから始まる。
脚本家三谷幸喜は、北条時政がいかにして畠山重忠を滅ぼしたか、そのいきさつを絶妙な脚色で演出。
今日の物語を見る限り、悪女として描かれたりく。
宮沢りえの女優としての真骨頂が披露されていたと思う。
つまり、
りくは夫をそそのかして、畠山重忠を粛正しようと画策。
物語の中ではりくを唆したのが平賀朝雅として描かれた。
物語の1連の流れが巧妙に入り組んでいる様子が、巧みな筆さばきによって表現。
じっくりみないと、なかなか関係性は理解できない部分が多いが、すべての企みの根本にあるのは京都の朝廷。
後鳥羽上皇は自分のいとこを3代将軍実朝に嫁がせたが、手足となって動くように画策。
その結果、悲劇が起こることになる。
物語では、登場人物たちのキャラクターが際立つような描かれ方をしているので、北条時政は妻の言いなりになる気の良いおっちゃんの役柄。
物語は、いよいよ悲劇性を増してすべての登場人物が粛清される形に。
目次
北条政範の死
人間の持つ欲望が限りなく渦巻いていたのが日本の歴史。
世界中で起こっていたと言ってももちろん間違いはないが、日本は朝廷とともに様々な登場人物たちの欲望が暗躍する時代が続いた。
北条政範は北条時政にしてみれば鎌倉幕府2代目執権として跡継ぎにしたかった思惑がある。
しかし、その欲望を巧みに利用したのは後鳥羽上皇。
平賀朝雅を唆して政範の暗殺をそそのかす。
政範がいなくなれば2代目執権は北条時政の娘婿、平賀朝雅にもチャンスが生まれる。
その欲望を巧みに利用することが物語の発端となっている。
しかし、その裏工作が同じように京都に赴いていた畠山重忠の息子にしっかりと聞かれてしまっていた。
実は、このせいで畠山1族は逆に政範暗殺の疑いをかけられてしまう。
平賀朝雅を演じているのは、山中崇。
今やっている朝ドラちむどんどんでは和彦の元上司多良島デスクを演じている。
全く違うキャラクターを演じ分けられるところは役者として真骨頂かもしれない。
鎌倉殿の13人では朝廷と結びついて鎌倉幕府の裏側で暗躍するダークな役柄を演じきることに。
鎌倉殿への入内
源実朝は自分の気持ちとは全くあずかり知らないところで、妻を女取ることに。
不安で押しつぶされそうになる中、朝廷は後鳥羽上皇のいとこを送り込んできた。
それは、鎌倉幕府の求めに応じた形でもある。
朝廷は鎌倉幕府、とりわけ将軍を自分の子飼いの部下として扱いたかった。
いってみればそのためのご褒美のようなもの。
もともと公家と武家では公家の方が圧倒的に格上。
それぞれが、歩み寄る形でお互いを利用しようと画策。
当事者たちはいい迷惑だったろうなと推察。
平賀朝雅の暴走とりく
平賀朝雅は自分自身への疑いを畠山氏へ巧みに誘導。
そうして、自分への追求をへ逃れようと画策。
そのための裏工作を時政の妻りくに巧みに吹聴する。
りくにしてみればもともと、自分たちの娘婿だったので、口車に簡単に乗ってしまう。
しかし、りくを言いくるめることができれば、すなわち執権北条時政を自由に操ることができる。
自分への疑いを晴らすために畠山重保が政範を暗殺したことにする。
こんなやりとりを簡単に信じてしまうところがりくの浅はかなところ。
「歴史の影に女あり」と言われるが、今回のエピソードがまさにそれ。
妻に言いなりの夫 時政は鎌倉殿をそそのかして、畠山追倒の命令書に花押をもらうことになる。
実は、この辺の歴史的な事件は初代執権北条時政失脚の直接の原因にもなっている。
北条時政は畠山氏討伐の後、ほどなくして北条義時と政子によって幕府から追放されるのだ。
畠山対北条
どうやら今日はまだ描かれなかったが畠山氏は来週滅びることになる。
鎌倉殿を唆して書類に花押をもらった北条時政。
彼はその下書を下に、畠山重忠1族を滅ぼすのだ。
できれば避けたい戦だったが、物語はそんなにうまくはいかない。
事件が起こってしまった後で、北条義時らは北条時政の暴走を知ることになる。
畠山重忠に謀反の意志などまるでなかったのに。
すべては悲劇に
勝手な思い込みと自己中心的な物の見方しかできなかった北条時政は言われるがままに暴走を。
そして、彼らが仕立て上げた3代将軍源実朝は言われるがままに花押を与えてしまう。
様々な思惑の中で、大勢の人が命を失うことになってしまう。
占いの婆さんが出てたよね。
雪の日に出歩いてはいけないと言われていた実朝。
彼が鶴岡八幡宮で暗殺された日は雪が降ってた。
歴史的事実を巧みに踏襲しつつ、脚色された脚本は驚くほどの説得力を持つ。
来週さらに粛清が進む。